絵を振り返る②〜ティラノ部長編〜
■前回
■1年前「ティラノ部長」
ティラノ部長の連載が始まったのは2020年の9月。そして最終話が2022年の3月。約一年半の連載だ。
そして1話目と最終話を比べるとわかるが。絵がけっこう変わっている。
ティラノ部長は番外編も含めると84話ある。その間におおよそ5段階の変化を遂げている。無理やり、その段階たちに名前をつけてみる。
1〈こんな感じ…かな?期〉
2〈なるほど、こういう感じね期〉
3〈カゲ濃くしたろ期〉
4〈輪郭強めでベタ塗りがカワイイやん期〉
5〈今までの知見かき集めてバランスとったろ期〉
こんな感じだろうか。
ではそれぞれを振り返り、その変遷を辿っていこう。
■1〈こんな感じ…かな?期〉
最初は手探り。しかも初めての原作付きの漫画。原作者は〈鈴木おさむさん〉。なのでおさむさんの話を聞いて、参考資料なんかも少し貰って、編集の人とも話しながら、キャラデザを3案ほど出して、決定。
おさむさんはこだわるポイントと、手放すポイントのバランスが秀逸だ。作品が成立する肝を、分かっているのだろう。このあたりのスピード感は作品全体を通してやり易かったし、勉強になった。
そして週刊というスピードの中で。ティラノ部長の性格と、表情のあり方、体も含めたリアクションの仕方を試行錯誤し、掴んでいった。それが第1段階。
■2〈なるほど、こういう感じね期〉
20話あたりになると、だいぶ掴んできていた。絵柄も安定しているように思う。お話の方もたオムニバスっぽい感じから、連続性を持ったヒューマンドラマへと転換している。序盤に日常を積み重ね、主人公と読者の間に、絆と約束ごとができたタイミング。これは僕好みの構造かもしれないと気づいた。
さらにこの時期は、単純に絵が上達しているようにも見える。世界観の理解と技術の向上が、絵に安定感を与えている(少なくとも1話よりは)。
目のフチに見られた黒ベタも、無くなりつつある。
■3〈カゲ濃くしたろ期〉
安定してくると、壊したくなってくる。したら領の性である。なので影を濃くしてみた。方向性としてアリだなと感じたので、9話ほどトライしている。
こうなったキッカケはおそらくモサ社長である。モサ社長のラスボス感を出すための策として…陰影を濃くする。という処理をしてみた。これがそれなりにハマったので、調子に乗って本編全体のカゲも濃くなっていく。
これが第3段階〈カゲ濃くしたろ期〉である。
■4〈輪郭強めのベタ塗りがカワイイやん期〉
第3段階〈カゲ濃くしたろ期〉を経た結果。作品の雰囲気とズレているかも?と感じていた。相性の問題というか。(殺し屋の話とかだったら、カゲ濃くても良かったかもしれん。)なので思い切ってカゲを無くし始めたのが、45話あたりから。そして効率アップのためにもバケツ塗り(ベタ塗り)ツールを使ってみた。それもあって輪郭を少し強めにして、バケツで塗りやすくした結果…
「カワイイやん」これが今までで1番ハマった。なので描いている期間を見ると、1番長い。日本史で言うと江戸時代みたいな感じ。たぶん。
この方向性が一つの正解な気がする。今読み返して尚更そう思う。
■5〈今までの知見かき集めてバランスとったろ期〉
66話ー76話(最終話)+番外編
しかし安定してくると、壊したくなる。それがしたら領の性である。とは言え、壊した結果クオリティが下がるのは嫌だった。なので、66話からペンツールを「チョーク」から「Gペン」に替えている。それに留まっている。
GぺんにはGペンの良さがある。しかしティラノ部長に関しては、チョークの方が良かった気がする。結果的にそう思った。ただ、好みの問題も多分にある気がする。この辺りは良し悪しではないかもしれない。(最新の番外編ではチョークで描画している)
そして75話と最終話だけ。少し雰囲気が違うのにお気づきだろうか。これは線を少し細くしているから。さらに最終話に関しては描画を細かくしている。解像度を少し上げている…と言うか。つまり最後なので、少しだけ特別感を出したかった。ティラノ部長の日常が終わる。成長の1話だと思ったから。
ここまで読んでくれてありがとうございます。
以上が〈自分の絵を振り返る②〜ティラノ部長編〉でした。
ではまた次回。
さようなら〜。
そして最後に宣伝を二つ。
まずは今年中に「ティラノ部長の電子書籍②巻」が発売されますよ〜
と言うこと。現在挿絵、あとがき漫画など描いてます。
その際はよろしくお願いします。
そして、この記事は〈コルクフェス〉と言う有料のオフラインイベントをキッカケに書きました。もう今週末ですが。ご興味ある方はぜひ。
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みんなそれぞれ本棚を持っていて、私も私の本棚を持っています。すでに名作や傑作でいっぱいの本棚に「自分の作品を差し込みたい。」それが私の挑戦です。たくさん作品を生み出して、トライしていきます。助力いただけると嬉しいです。