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絵を振り返る①〜眠れないオオカミ編〜

■始めに
僕はコルクスタジオという作家と編集のコミュニティに所属している。

その中で「ここ数年の自分の絵を振り返ってみよう」という話が出た。しかも3年前・1年前・現在という時間軸で。…面白そうだし良い機会なので、参加してみることに。

最初は一つの記事にまとめるつもりだったんだけど、まとまらず。なので、それぞれの時代ごとに記事を書くことに。今回語るのは3年前。

■3年前「眠れないオオカミ」


今から3年前は2019年。コロナが始まる前年だ。
「眠れないオオカミ」を描き始めた年でもある。どこを目指して描き始めて、どうなっていったのか。振り返ってみる。

まずは始まり

1話は先のことを考えずに、何かを吐き出すように描き始めた。だから展望があったわけではなく。自分の中に堆積している、憧れの絵描きたち…彼ら彼女らを煮詰めて描いた。例えば…

・後ろに広がる荒野は『ムーミン』やスーファミなどの2Dゲーム
・絵のザラザラ感と霧がかった雰囲気は、ロシアのアニメーション作家ユーリ・ノルシュティン霧に包まれたハリネズミ』。
・オオカミのキャラデザも、ノルシュティンのハリネズミからインスパイアされている。(他にも混じっているけど)


そして1話目は平面的だったキャラデザが、2話目の中盤から徐々に立体的になる


なぜ立体的になったのか…?それは最初に平面的にデザインしたキャラデザが、物語の中でアクションさせる際に立体的になっていったからだ。(実際に動かしてみると、色んな角度を求められ。平面では居られない。2D→3D)漫画がアニメ化される際に立体的になる、みたいな感覚。

そしてそのまま2〜11話目あたりまでは、世界観に慣れていっている感じ。ルールを少しずつ理解してる最中というか。

その中でオオカミの性格、周りのキャラとの人間関係も方向性が固まっていき。話を重ねるごとに、だんだんと確信を持って描けるようになっていった。

それがだいたい固まったのが11話


つまり手探りの期間は終わり。方向性が固まった時期。
ここから先はそこまで絵が変化していかない。……とは言っても、常に色々試してはいるので、小さい変化自体はしていくのだけど。成長曲線を描いてはいないというか…そんな感じ。(絵の質において)

どちらかと言うと、描くスピードを上げることに挑戦していた。このあたりから、1話ごとのページ数も増えていくので。週刊で連載していくのを必死でこなしていた。ただそれは同時に楽しくもあった。バズって読者が増えたのも10話あたりだったし。

それに物語を終わりに向かって走らせていたので(28話が最終話)。物語をどうするかに時間を割いていたように思う。

では最終的に、眠れないオオカミの絵はどう成長したのか?

正直に言うと、1話目の絵が1番良いと思う。

これは絵描きあるあると言うか。最初に描いた絵の情念を越えらない、と言うことはよくある。なぜなら最初で発散してしまうからだ。その後はまろやかにならざるを得ない。(単純に1話目に1番工数をかけたから、というのもある)

それはつまり「絵を描きたいと言う気持ち」と「物語をつくりたいと言う気持ち」どっちが大きいか?と言うバランスの問題だ。

しかも「眠れないオオカミ」の1話目に関しては、本当に最初の一発目だった。イメージボード的なもの描いていないまま、ぶっつけ本番で描いた。だから余計に絵を描きたい、現出させたいと言う気持ちが濃かった。

2話目以降は、物語によって求められた。だから1話目ほどの情念がない。その分「物語をつくる」「早く描く」と言う側面で成長できた。


以上、〈自分の絵を振り返る①〜眠れないオオカミ編〜〉でした。
ではまた次回。

さようなら🌙


…そうだ忘れてた。
最後に宣伝を少し。
今回のこの振り返りnote記事なのですが。コルクスタジオが11/5(土)に開催する。「コルクフェス」がキッカケです。

スタジオの作家と編集がドヤドヤと集まって。それぞれの振り返りやら、漫画の未来やら、WEBTOON(縦スク漫画)やらについて語り合います。

有料のオフラインイベントです。(オンラインでも参加できるのかな?良くわからん)僕は遠方なのと、赤ちゃんが生まれたばかりなので参加は厳しそうですが。(本当は行きたかった。)

興味がある方はぜひ、サイトを覗いてみてください。
作家・編集を目指している方もぜひ。知見と知り合いが、拡がるかもしれません。↓↓

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ここはしたら領の創作の土台。ここの活動費をベースに漫画を描き続けることができています。(いつもありがとうございます) 私は死ぬまで創作します。人間の感情を絵と言葉で捉える研究をします。購読して頂けるととても嬉しいです。

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