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納得する、面白い漫画とは

このnoteはプロの漫画家の端くれである私したら領が、面白い漫画へ到達するための日々の試行錯誤を、ありのままに綴っていく日記です。

したら領

■面白い漫画を描きたい

「面白い漫画」とはなんなのか。売れている漫画でしょうか(例えばワンピース・ドランゴンボール・ハンターハンター等)。

もしくはアーティストに大きな影響を与えた、漫画史の分岐点となるような漫画かもしれません(例えば火の鳥・ねじ式・AKIRA)。

しかし今回私が考えたい面白い漫画とは、そのどちらでもありません。今回考えたいのは、私自身にとっての面白い漫画。「これを描いて評価されないのであれば、しょうがない。」と言い切れるような、納得十分な作品のことです。

逆に言うと、私がまだそのスタートラインに立てていない、と言うことでもありますが。


では「面白い漫画」そこに至るにはどうすればいいのか?一つの考え方として。「描きたい作品」と「求められている作品」の交点にそれはある、と思います。

なのでその両方を、日々考えているわけです。しかし、まだどちらも明確な答えは見つかっていません。ただ、自分の考えを整理するためにも、ここ数年考えていたことを、記していきたいと思います。

今日は「自分が描きたい作品」について。


■自分が描きたい作品


描きたい作品とは、これまでの人生において、強く影響を受けた作品たちによるジクソーパズルです。パズルを完成させるには、自分が受けてきた影響を精査し、よりシャープにしていかなければなりません。

それは好きな作品を削って、断片にしていく行為であり、過去の名作たちを、いかにブレンドすると美味しくなるかを考える行為です。

そして理想は、ブレンドが絶妙すぎて、新しさが出ることです。世の中の先進的な表現とは、本当の意味で0から1を生み出しているから「新しい」わけではなく。ブレンドの仕方が、影響の受けかたが、その表出の仕方が、今までになく「新しい」わけです。

私も例に漏れず、ここを目指して、苦悩している漫画家なわけですが…。ここで問題がもう一つ出てきます。

それは何に影響されるかは、選べない。と言うこと。

作品に滲み出てしまうほど、影響を受けている作品というのは、若い多感な時期に摂取していることがほとんどです。遅くとも、20代前半までに感銘を受けた作品が、自分の作品のベースを構成することでしょう。

もちろん表面的な影響は、ある程度後天的に選べます。しかし表面的であるが故に、咀嚼が不十分で、噛みきれていないので、影響がモロだしになってしまいます。そうすると「パクリだああああ」と世間様から指を刺される可能性も高くなることでしょう。


なので土台は、すでに用意されているピース(影響)から、どの組み合わせが最適解かを考えていくわけです。しかしどれが最適解なのか、答え合わせをすることはできません。

とは言え、最適解らしきものはあります。それは自分がノリノリで描けるかどうか。世の中に作品の素晴らしさを広めたいと思えるかどうか。です。

つまり、そっちの方が描いてて楽しいし。楽しんでいると、熱量も上がるし。人も寄ってきやすいので。結果として最適解だと、後から納得しやすいでしょう。

なので大事なのは自身の感受性、アンテナです。なのでこのアンテナの感度がビンビンだと、最適解ににじり寄っていけます。

ただ完璧主義が過ぎると、前に進めなくなってしまうので、ある程度は運命を受け入れる柔軟性が必要かと思います。やっていたら好きになっていくことも、往々にしてあります。

なのでつまり、ここ数年の私の作家活動は、自分が持っているピースを自覚しつつ、どの組み合わせだと面白くなりそうなのかを、試行錯誤している状態です。

■現在地点

では私自身は、自分の「描きたい作品」にどこまでにじり寄れているかと言うと。色々手を出しすぎて、迷っている状態です。

ただ直近で言うと、少しずつ絞れてきてはいて。さらに今後は、最後のダメ押しとして「世の中に問うてみる」を、やっていこうと思っています。

自分が「描きたい作品」の最後の微調整を、読者が「求めている作品」の持つ引力にお手伝いしてもらうわけです。

…自分で書きながら気づきましたが。つまり「描きたい作品」とは「求められている作品」でもあり。表裏一体なのかもしれません。

思ったよりも長文になってしまいました。今日はここまでにしておきます。それでは次回は、読者が「求める作品」について考えていきたいと思います。それではまた次回、さようなら〜



完成原稿や創作過程

■今日のおまけ

・1Pエッセイ漫画
・新作のプロットとチビネーム。
新作とは、タイトルの横に立っている、このキャラ↓が主人公のドタバタ劇。

猫族のミャー

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