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人間を描くということ

僕はたまに
こんな言葉を投げかけられる。

「人間が主人公の漫画を読みたい」
「人間も描けるようになった方が良いんじゃない」

このような心無い言葉が年に3回ほど、僕の耳を直撃する。

わかる。
「別に大した言葉じゃない」
「気にしすぎじゃない?」という意見もわかる。
ていうかすごいわかる。
本当は全然心無いとか思っていない。
(でも少しだけ気にしてるような気がしなくもない。)

しかしここはあえて、
この投げかけられた言葉に対して反抗する姿勢で語っていきたいと思う。

つまりこの言葉の裏にある(かもしれない)
「お前人外しか描けねんだろ?人間も描いてみろよ」
というナイフ。

そのナイフがチクチクと僕の耳の奥を刺すのだ。

そしてそのナイフは魚の小骨のように、つっかえて離れない。
もはや今となっては体のどの辺りに刺さっているのかも分からない。

もしかしたら心とか言う場所かもしれない。

どうりで見つからないわけだ。心にあっては探しようがない。心は触れない。どうしよう。どうしよう。

そんなことをたまに考える。
小骨なので、ほかって置いても特に支障はない。
しかし支障がないから良いというものでもない。

鼻毛が毎日出てたら、恥ずかしい。
何とかしたい。
「死なないから良いじゃん」と言われても
そんな言葉は響かない。

人との比較、優劣を常に突きつけられる現代SNS社会において。
鼻毛を毎日出したままで生きていけるほど、ワタシたちは強くない。

と言うことで何とかしてみたい。
と言う気持ちだけはある。

しかしワタクシしたら領。
別に人間が描画できないわけではないのだ。

じゃあ人間を描画するのが世界で1番うまいんか?と言われたらそんなことは全くないが。

別に描けるっちゃ描ける。(今までもモブキャラとかサブキャラで描いてるし。ティラノ部長の星野さんとか)

まあしかしそれもリアル描画ではない。
確かに、写実よりの人間キャラを皆さんにアウトプットしてお見せしたことはない。

まあ写実っぽいのも描けるっちゃ描けるけど……。
(本当に?)
(たぶん)

でもあんまり興味がないというか。

モフモフしてる動物キャラ描いてる方が楽しいっちゅうか。

自分が楽しいことばかり追いかけて30年以上過ごしてきているからこそ。今こんな漫画家なんてものを一応職業らしく据え置いて、生きているわけだし。

自分が写実的な人間を描けることを証明したところで

なんか虚しいし。

証明してみせたところで。そこまで上手くないじゃんとか言われそうだし。
(上には上がいくらでもいるわけだし。今更そこと競っても不毛であるし)


なんてグダグダとくだを巻いているうちに。
ワタクシはここまで、人間を主に描くことなく。
創作人生を生きてきました。

そしてなんでこんな話をしているかと言うと。

先日もネームとしてnoteにお見せしましたが。
今日、人間しか出てこない読み切り漫画をカラーまで描き終えました。

人間が恋をして、頑張るお話です。

これは…人間?なのか?と言う疑問が湧くキャラデザではありますが。
(特に主人公)

一応それなりの等身で、人間っぽいものを描いたので。
節目と言いますか。
ここに現在の作者の心情を残しておこうかなと思い、こうして筆をとり、note記事として書いたのでした。

では

ここからが

・線画4枚
・カラー4枚
(セリフなし)



どうだろう
人間、描けているだろうか?

いや応えはいらない。
僕は描けていると思っているしそれで十分ジャマイカ。
「自分を大切にできるのは、いつだって自分である。」
とかどこかの偉人が言ってそう。


ということで
ここまで読んでくれてありがとう。

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