したら領|まんが
ティラノ部長65*
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ティラノ部長65*

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65話 『父親とお線香』

【ココまでのあらすじ】星野さんとの初デート中。「父親が倒れた」と急報が入る。急いで星野さんの車に乗りこみ、病院へ向かうふたり……。ティラノ部長の運命やいかに。


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今回のお話、自分にとって感慨深い回になりました。

その理由は二つあります。まずはティラノ部長の父親が初登場する20話が、個人的にとても好きな回であり。

自分がこの「ティラノ部長」という作品に自信を持ち始めた回だったということ
(20話)↓

そして今年僕自身、父親を亡くしたこともあり、自分とリンクする話だったということです。

そもそも父親を亡くす前から、僕はこのティラノ部長の「父親」という存在に引っ掛かりを持っていました。

男の子にとって「父親」とは……少なくとも僕にとって「父親」とは特別大きな存在であり。憧れと尊敬、軽蔑と近寄りがたさが同居する摩訶不思議な、1番近いはずである、1番遠い人物でありました。

父親は65歳でこの世を去りました。

県立芸術大学の教授であり、死後、名誉教授となりました。今僕が漫画を描いているのは間違いなくこの「父親」という存在のせいでしょう。

父親は僕に絵を教えることはありませんでした。

あくまで僕から見えている景色ですが…父親は僕よりも、兄に絵の才能を見出していたように思います。

だからと言って、父親が特別兄に対して、えこひいきをする様なことはありませんでしたが。

僕はその視線の違いを、言葉の節々から感じ取っていました。そのことが特別大きなショックだったということは無かったように感じます。しかし父親と兄が芸術の道を歩く中、僕は経済学部に入り、いわゆる「サラリーマン」の道を歩いていました。「サラリーマンになるぞ」と思っていました。

今思えば歩いていたというよりは、寝転がって不貞腐れていたように思います。

そもそも「サラリーマン」などという曖昧な職業はなく、いかに当時の僕が、未来のことを考えていなかったがわかります。

僕は小学生から大学生まで、授業中は大体落書きをしていました。電車やバスに乗れば、物語を空想していました。

僕は人生で「絵を描きたい」と父親に2度、言ったことがあります。静かに…しかし自分としては一大決心の言葉でした。

1度目は高校受験の時期。2度目は、大学を留年した時です。

しかしどちらの時も、父親の言葉後ろ向きでした。少なくとも僕にはそう感じられました。

父親としては、絵を描いて食べていくことの難しさを知っていて。なおかつ絵描きの子が絵描きになるという構図を、単純すぎるように感じていたのかもしれません。

僕の選択が現実逃避に見えていたのかもしれません。

どちらにせよきっと僕は、父親に認められたかったのかもしれません。「お前ならやれるよ」と背中を押して欲しかったのかもしれません。

結局、僕と父親が、お互いの創作について真剣に話すことはありませんでした。

かろうじて、お互いが鑑賞した映画を通して、作品というものの輪郭を確かめ合っていた節はあります。

もしかしたら今後、僕が作家として成長していけば。お互いの作品について触れ合うような会話が、発生した可能性はありますが。

今となってはそれも、叶わなくなりました。

「叶えたかったのか?」と聞かれれば、それも良くは分かりませんが。叶わないからこそ、創り続けるのかもしれません。

かもしれません、かもしれません、かもしれません

人生は可能性に満ちています。様々な分岐を経て、道のりを選んだような気持ちになって、歩いて行きます。

漫画家というのは、そのこぼれ落ちていった「かもしれません」を拾い紡ぐような…一人の人生で複数の物語を持てるような、職業なのかもしれません。

僕はいまだに「父親の死」というものを、悲しく感じていません。むしろどちらかと言えば、前向きに捉えています。側から見ても充実した人生の様に見えました。だからと言って父の様になりたい訳ではありませんが。「父親の死」は今のところ、僕の生活にほとんど影響を与えていない様に感じます。

それは父親が僕に影響し尽くしていたからなのか、何なのか…

この問題をこの先もずっと考えていくのだと思います。

to be continue…



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世界中の本を集めた図書館があったとして。きっとその本棚は過去の名作や傑作でいっぱいです。その隙間のちょうど良い所に、自分の作品を差し込んでいけたら、良いなと思います。

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善悪でなく人間を描きたい■アングラでサブカルな小冊子を連載しつつ「好きに描いているだけです」と謙遜しながら世界中に翻訳されるヒット作を連発したい■出版物「眠れないオオカミ」「ティラノ部長」