絵本じゃないものの中に潜む…絵本「っぽさ」が好き
「っぽさ」とはなんなのか?
「っぽさ」に出会うたびに、ふと考えてしまいます。
「漫画っぽさ」「映画っぽさ」「小説っぽさ」…
「男性っぽさ」「女性っぽさ」…
などなど。
漫画家なので、やはり物語コンテンツに関わる「っぽさ」に敏感になってしまいます。
「漫画っぽさ」って何だろう?と
例えば、漫画の中でも「ジャンプ漫画っぽさ」「アフタヌーン漫画っぽさ」「少女漫画っぽさ」…とかありますよね。
言語化できる部分もありますが。
何とも説明し難い部分も結構あるなーと思います。
まだ、距離があるもの同士ならば、差異が明確なので、具体的な要素を並べて違いを語りやすいのですが。例えば…
しかし、ジャンプっぽい恋愛漫画もあるし、少女漫画っぽいバトル漫画もあります。(「電影少女」や「宝石の国」とか…かな?異論はあると思いますが…)
そして、この「っぽさ」にこそ。
我々が惹かれてやまない何かが、あるのではないか。そんな気がします。
■「っぽさ」が感情を動かす?
絵本が好きな人、漫画が好きな人、映画が好きな人、小説が好きな人
それぞれ趣味趣向があると思います。
そしてみんなそれぞれ、それぞれの「っぽさ」を、味わいにいっているのではないでしょうか。
もちろん実際はもっと複雑で、「絵本っぽい漫画」が好きな人もいるし。「小説っぽい映画」が好きな人もいるでしょう。
私は映画館が好きで映画をよく観に行くのですが。(引越してから映画館が近くになくて、あまり行けてないけど)
なんのために行くかといえば、まずは「映画館っぽさ」を味わいにいってます。
少し値段の高い、ポップコーンやジンジャエール。それらを片手に、半券を店員さんに渡し、スクリーンに向かって、歩いて行きます。
そして映画館特有の椅子に座り、そのまま暗闇に溶けていく。公的でありながら私的な空間、何とも言えない異空間。
そしてさらに、そこに写される映画の光に、自分が求めている「っぽさ」を見出したとき。そんなときに、鳥肌が立つのです。
そしてまた映画館を好きになる。
それは10回に1回も巡り会えない体験かもしれません。
それでもその瞬間を忘れることができずに、もう一回、もう一回と足を運ぶのです。
「っぽさ」には、人の感情を動かす力があります。それがじわじわと積み重なっていき。歯車が噛み合い続けたとき、人は感動するのかもしれません。
■「っぽさ」とは文脈?
「っぽさ」…とはどこから来ているのか。それは、積み重ねからだと思います。
例えば、ある種のムーブメントが起きて、それが継続し、人々の生活に定着したとき。それを人は文化と呼びます。
漫画という文化が、現代までに積み上げてきた歴史。そこから感じ取れる一貫性を「っぽさ」と呼ぶのかもしれません。
それは言語化できない部分も含めた、みんなが感じている。漫画が纏っている雰囲気のことです。
■まとめ
私が漫画家として、惹かれている「っぽさ」があります。
それは、漫画やアニメの中にある「絵本っぽさ」です。
絵本による、絵本っぽさよりも。それ以外のジャンルのコンテンツの中にある、「絵本っぽさ」「童話っぽさ」が好きなのです。
例を一つ挙げると。
浦沢直樹さんの「MONSTER(モンスター)」の中に、「なまえのないかいぶつ」という絵本がでてきます。
浦沢さん自身が創作した絵本なのですが。私はこの劇中絵本が好きでして。読んだ当時、「この絵本のつづきを読みたい」と思いました。
それはきっと、浦沢さん自身が、生粋の漫画っ子だから。描かれている絵本に漫画っぽさが漂っています。その中和が好きなのです。
大人の絵本が好きなのも、そこに繋がっている気がします。
だからきっと、いしいしんじさんの作品にも、私は心を奪われているのでしょう。
自分もそんな漫画を描きたい、描くぞーと言う気持ちです。
今日の仕事は
・池田くん最新話の線画(6〜7P)
・新作「ラルフ」3話以降のプロット
実は今日は、娘の予防注射がありまして。
その関係でほとんどお昼までしか、仕事ができませんでした。
(夜もちょこっと描いたけど)
そのため、そこまで進まず。
娘は元気で可愛くて、それ自体は良かったのですが。
まあそんな日もあるまいなと、今日は半休だったのだと、思うことにします。
■池田くん線画
みんなそれぞれ本棚を持っていて、私も私の本棚を持っています。すでに名作や傑作でいっぱいの本棚に「自分の作品を差し込みたい。」それが私の挑戦です。たくさん作品を生み出して、トライしていきます。助力いただけると嬉しいです。